大量インバイト開始以来またしてもあまり動きがないGmail。そんなわけで昨今の“ベータ事情”に関する米国ZDNetの記事を翻訳してみました。記事中に有料ベータの是非に関する言及がありますが、有償だから正規バージョンとは限らなくなってきた今日このごろ、何かにお金を払う前には今まで以上に利用規約とかちゃんと読まないといけないですね・・・。
かつては「ベータ版」といえばソフトウェア開発が最終段階に入ったものと考えるのが常識だったが、最近では開発側がその製品をオープンな状態でいつまでもいじり回すことが珍しくなくなり、ベータ版はベータ版のまま独自の道を歩む傾向が出てきた。
この傾向を裏付けるように、先の水曜日にGoogleの共同創始者ラリー・ペイジは投資家向けにこう語った:
「Google製品においてベータもしくはテスト段階というものは、エンジニアがまだ重要な変更を為しうると考える限りずっと続くものだ。だから場合によっては、数年間もベータ期間を経ていることもある」
「ベータのレッテルは恣意的なものなので、明日にでも全製品からベータの文字を取ってしまうことはできなくはない。だがそうしたら、実のところ本当の成果は上げられないだろう。仮に我々が5年間に渡って重要な変更を加えようと考え続けるせいでベータ期間が5年になるのだとしたら、それはそれで結構なこと。これはGoogleからのメッセージであり、ブランディングに関わる問題なのだから」
ベータテストというものに対するGoogleの時間感覚は、過去には製品の正式リリースに向けての重大なバグの検知や最後の調整を行うための機会と考えられていたこのプロセスを、最も大胆に拡張している一例だろう。
ギリシャ語アルファベットの2番目の文字にちなんで名づけられた“ベータ版”とは、一般的にはソフトウェアの検証における2番目の段階を意味する。かつてはベータ版といえば、開発元の内部テストを経たアルファ版に続いて作成され、限られたテスターのみに配布されたものだった。
しかしここ数年、CD-ROMパッケージやダウンロード型のソフトを上回る勢いで、Webサイト上で動作する複雑なアプリケーションの利用が増加するにつれ、ベータテストというものはより長期間、オープンな形で一般に実施されるようになってきた。
先日ベータ一周年を迎えたオンライン写真サイト「Flickr」の共同創始者およびマーケティングチーフである Catarina Fake 曰く:
「Web上でのベータテスト実施は、ここ3年間でかなり頻繁になってきましたね。3年前には、そんな例を見かけた記憶はほとんどありません」
ペイジが認めるように、Googleもベータ版の多さと長さにかけては有名だ。Google Catalogsは2001年以来、Google Newsは2002年以来、Froogleも同じくらいベータのままである。
Gmailについては、最近実施された変更のせいで、もうすぐベータが終了するのではないかという憶測が流れている。
Googleなどの企業のベータサイクルが数年単位に長期化する傾向について、不満を持つ人々もいる。それらの製品がもう十分“食べごろ”なのか、まだ“生焼け”なのか、その境界が見えにくくなっているからということだ。
技術コンサルタントの Mary Hodder 曰く:
「もはや“ベータ”という用語自体、問題があると思われます。GoogleやFlickrは何年もベータのままサービスを運営しており、いまや我々はベータの文字を見ても『どうってことはない』と反射的に考えてしまうのですから」
Hodderは、ベータ版でありながら有料のRSSアグリゲータを使用中にデータの損失を被った自身の経験をBlogにポストし、論争を巻き起こした。彼女はそれがベータ版だったことを知らなかったという。まさかベータ版で金を取る企業が存在するとは思ってもみなかったのだ。
「あるサイトに行って購入したものがベータ版だったら、“ベータ版”という言葉は意味を為さなくなります」と Hodderは言う。
Flickrも有料のベータサービスを実施する決断をしているが、Fakeはこれを擁護している。より大きなディスク容量を欲するユーザが有料でのサービスを望んでおり、正式公開への最後の仕上げを行うコストをまかなうためにも必要だからということだ。Flickrでは無料アカウントに加え、年間$59.95でディスク容量を追加することができる。
Fakeによれば、Flickrのベータ期間の長さは意図したものではないという。このサービスは元々、マルチプレイヤー対応のゲームサイトのアイデアをベースにして生まれた。その後、写真の保管・共有という機能にフォーカスを当てたことで人気が高まったため、最初に企画していた機能には重点を置かずに大幅なリソースの建て直しを行った。
「我々は製品の設計サイクルを大幅にスピードアップします。変更はその都度サイト上に反映・検証し、さまざまな機能をめぐってどんなユーザー行動が発生するかをチェックし、継続的にユーザとやり取りを行って更なる改善を行うつもりです。ソフトが実際にどう機能するかを確かめるには、実際にユーザに使ってもらうのが何より有効ですから」
Googleのテスト製品の中には、GmailやSNSサービスであるOrkutのように、ベータ期間中のユーザ数増加をコントロールするため招待制を導入しているものもある。
ダウンロード型ソフトウェアの世界では、ベータ版のレッテルを取るのが早すぎた製品についてしばしば大騒動が起こったものだった。
たとえば Netscape Communicationsは、Netscape 6 のリリース後に激しい非難を浴びた。この製品は、オープンソース開発グループ Mozilla.orgによる前バージョンでのビルド1.0をベースにしていた。ある批評家は当時こう述べている:
「Netscape 6 は、まだベータ版程度の製品だ。自分で使ってみた結果、開発完了したとはまだ思えない状態だった。Netscapeはこんなに大急ぎで製品を出さずに、Mozillaプロジェクトがバージョン1.0を正式リリースするまで待つべきだったと考える」
ブラウザ戦争の経験者 Jon Mittelhauserが、かつての Mosaicブラウザ(Netscape 6 の遠い先祖に当たる)に関して思い出すのは、“終わりなきベータサイクル”だ。
Mosaicの共同開発者であり、Netscapeの創設メンバーである Mittelhauser 曰く:
「終わりなきベータサイクルに巻き込まれる古典的なパターンの一つは、開発チームに機能をフリーズするための統制がしかれていない場合に起こる。開発者がちょっとした“害のない”機能を追加しようとし続けるために、しばしば別のところで副作用あるいはバグをもたらす結果になり、悪循環に陥るというわけだ。厄介にも、これは“才能ある”開発者に限って起こりがちな事態だ。こういう開発者は細かいバグを黙々と直すより、素晴らしい新機能を実装しようとしがちだから」
↓ソースは以下です。
A long winding road out of beta
ZDNet - USA
http://news.zdnet.com/2100-9588_22-5571590.html
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